金沢市持続可能な社会を形成するための連絡会ニュース
 第13号  平成14年12月2日発行

 環境省は2005年度にも各省所管の省エネルギーや森林整備などの各種補助金 を温暖化ガスである二酸化炭素(CO2)の排出削減の原資に充てられるよう運用の見直しを検討するそうです。(11月22日日経新聞掲載)
 京都議定書が、来年発効する見通しの中、これを達成するためには排出増が 止まらない家庭や自動車からの排出を減らす必要があります。環境省は各省毎に 所管するエネルギーや道路財源を必要に応じ家庭やオフィスの断熱工事、新エネルギーの導入などの補助に回せるようにしたり、森林の整備にも充てられるよう制度の見直しも考えています。
 国に先駆け、次々と環境施策を展開している東京都では、大規模なマンションやオフィスビルを新築する際、太陽光発電など省エネ対策を導入するよう義務付ける方針を決めました。
 師走だからこそ、しっかりこの一年の環境保全活動の見直しを図り、来年につなげたいものです。
 

地球温暖化防止実行計画策定企業が41社に
 さる11月26日、通算4回目となる地球温暖化防止実行計画の認定証授与が金沢市役所市長応接室で行われました。今回計画を策定したのは、次の10社で、これまでに計画を策定した31社と合わせ41社となりました。



■策定企業名(計画書提出順)
  日海不二サッシ株式会社
  株式会社中央設計技術研究所
  兼六建設株式会社
  株式会社アイ・オー・データ機器
  ホクショー株式会社
  アルスコンサルタンツ株式会社
  加州建設株式会社
  中外製網株式会社
  株式会社小山組
  株式会社中島商店

 
これまで計画を策定した41社の概要は、次のホームページで見ることができます。
http://www.city.kanazawa.ishikawa.jp/kanho/


地球温暖化防止実行計画
           策定研修会を開催します

 連絡会では、各社の計画策定を支援していくために、全体会とは別に研修会を開催します。温室 効果ガス排出量を把握するためのソフトも無償で提供いたします。
 ぜひ、この機会にご参加いただき、計画策定に取り組みませんか。

  詳しくは事務局(金沢市環境保全課内)
        
234-5132まで
連絡会の最近の活動から
第16回連絡会「エコドライブの実践方法」
     10月2日(水)金沢市保健所にて
     (財)省エネルギーセンター 谷口正明氏

 ■車の過度な利用が問題
 交通手段の速度と利用関係を分析すると、車は利用範囲が広く、他の交通機関とは一線を画している。運輸部門のエネルギー消費は199 0年から95年で17%も増えた。自家用車のエネルギー増加要因の内、3/4は距離の増加に伴うものである。


 ■車の省エネ施策は走行量低減と低燃費走行
 自動車本体は2010年までに23%改善する予定であり、ほぼ達成できる見込みである。
 大林組はトラックと建設機械の省エネマニュアルを作った。現場では、トラック、建設機械で70%以上の二酸化炭素を排出しており、17%削減することを目標としている。
 省エネ運転の情報は、人によって間違った情報 を持っている。一般の人の理解としてはメーカーが対応するものとの考え方が多い。省エネ運転実施に向け、具体的にどうすべきか分からないという実態が分かり、「スマートドライブ」のパンフレットを作成した。
■燃費悪化の様々な原因
積載量増加による燃費は、ゴルフバッグ1個で約0.3%悪化する。速度が遅いときには、それほどでもないが、郊外を走るスピードの時が最も影響が大きい。
 タイヤ空気圧の不足は、速度が速いほど燃費悪化につながる。1ヶ月に1度くらいはガソリンスタンドなどで適正値にした方が良い。空気圧を調整する際には走り始めの段階で行わないと、実際より低めの数字が出てしまう。
空気抵抗も速度が速いほど大きくなる。また、車の運転席の窓を全開すると2.5%の空気抵抗増、全ての窓を全開すると10%の空気抵抗増となる。
 スキーキャリアは空気抵抗が40%も増え、高速で は20%以上も燃費が悪化することになる。また、ルーフボックスでは空気抵抗が25%増である。
 コールドスタートでは走り始めは確かに燃料消費は高くなるが、エンジンを暖めるためのアイドリングよりは燃費は良い。
 定常走行では40〜60qの速度が最も燃費効率が良い。

 ■信号待ちでのアイドリングストップは有効
 市街地を走行する際 41%は停止している時間 で、25%が停止時の燃料 消費である。日本では、アイドリングストップバスの 導入が進んでおり、高い改善率が見られている。
 アイドリングストップ機能付きの車としては、マニュアル車のビッツ、全自動型のクラウンマイルドハイブリッド車、タクシー仕様のクラウンコンフォートなどがある。マイルドハイブリッド車は昨年8月から今年3月で約2,000台販売され、その後も月300〜500台出荷されている。
 「アイドリングストップをしていますか」というアンケートを2,000人に対して実施したところ80%以上が「駐停車時」には実施しており、「信号待ち時」の実施は4%だった。
 後付け型のアイドリングストップ支援装置があるが、60名のモニターで実施したところ意外といけるということだった。
 この夏、信号待ちアイドリングストップ全国キャラバンを実施した。全区間のうち、都市部は13%だったが、時間は30%占めていた。都市間の旅行速度は41.7qの旅行速度だった。全区間での信号待ちアイドリングストップ実施による燃費改善効果は4%、都市部に限ると14%も改善した。
 アイドリングストップはデータでみると、5秒間止まっていれば有効であり、できるだけ実施していただきたい。                 (講演要旨)

(財)省エネルギーセンター発行の「スマートドライブ」をご希望の方に差し上げます。事務局までご連絡ください。
 第17回連絡会
  「事業活動からムダをなくす」
  10月23日(水)、25日(金)
            リコー福井事業所にて

 10月23日と 25日の両日、廃 棄物対策を中心 に積極的に環境 保全活動を推進しているリコー福 井事業所見学会を実施しました。社員一丸となって事業活動の中から徹底的にムダをなくす取り組みは、まさに先進的であるともに、参考になることが数多く見られました。

■環境保全活動の4つの柱
 環境保全活動として「省エネルギー(CO2削減をめざしたエネルギーの効率的利用)」「省資源・リサイクル(生産ロスゼロをめざした廃棄物削減活動とリサイクルのレベルアップ)」「汚染予防(製造工程における有害物質の使用排出量の削減)」「安全衛生(安全で健康的な職場環境づくり)」を4本柱として取り組んでいます。こうした活動もTPM活動(全員参加の生産保全)の一環で、5S+3S(しっかり、しつこく、信じて)の8S活動を展開しています。
■焼却した灰までリサイクル原料化に成功
 ごみゼロエミッションでは一般的には、焼却熱利用までを含めていう事例が多いのが現状です。ところが、リコー福井事業所では、分別が難しい生活系廃棄物までも対象に含め、1999年8月に焼却灰まで原料としてリサイクルすることに成功しています。実現までには法律面、コスト面など多くの障害があったそうですが、28社、延べ4,700qにも及ぶリサイクル業者探索を実施した結果達成しました。リコーで初めてのごみゼロ工場となったそうです。
その後、廃棄 物が製造ロス からの発生が 多いことが分 かり、社員の 様々な改善提 案を取り入れた結果、
2001年度実績として、年間廃棄物削減量が215t、年間廃棄物処理費用削減金額は約1千万円となりました。ごみゼロを達成するために、関連会社を含めた「廃棄物ゼロ委員会」を立ち上げたり、分別間違いを起こさない工夫として、何をどこに置いたら良いかの詳細な掲示や判別しにくいものについては「分かりませんコーナー」を設置し、社内LANを通じた連絡なども行っています。また、社内には廃棄物と、それが何にリサイクルされているか一目で分かる「リサイクルパーク」もあります。
■デスクの共同利用とムダな事務用品の排除
 総務グループの事務室では、デスクの上には一切書類がなく整然としており、個人用の引き出しもない共同利用となっているそうです。また、写真でもお分かりのように、事務用品毎の型枠が引き出しに入っているため、ムダな事務用品が一切入らないようになっています。
■社員一丸となった活動の成果
 TPMロード、エコロジーロード見学コースで最も印象的だったのがTPMロードです。今や、先進的に取り組まれているリコー福井事業所が、社員一丸となって事業活動からのあらゆるムダをなくしていく取り組みの過程が一目で分かるもので、社員が初心に戻って事務を見直すうえでも役立っているそうです。
また、分別ステーションには、社員みんなで製作したリサイクルロードが環境活動のシンボルとなっていました。


(質疑応答)
Q1 環境報告書は誰が作っているのか。
A1 女性1人が中心となり、年に1度、7〜8月にかけ作成している。
Q2 改善活動のテーマは誰がどのような形で決定するのか。
A2 テーマはコスト削減、効率、安全活動の充実等常に顕在化してあり、その中から選択している。

Q3 ごみゼロレベルTからVは独自のものか。
A3 独自で設定した。ごみゼロを早くに達成したいくつかの企業では産業廃棄物をゼロにすることがごみゼロだった。その上をめざそうということで、生活系ごみまで組み入れたレベルVを定めた。ごみゼロ活動は様々な環境問題に取り組む第一歩であり、社員一致団結のためのイベント的な意味合いもある。

Q4 どこまでをみてリサイクル達成としているのか。
A4 リサイクルの商品ができあがるまでとしている。年に1回はリサイクルの最終ルートを確認している。

Q5 全員参加の活動に結びついた社員教育、意識づけの苦労について
A5 コストダウンへの危機感などによって社員のやる気を上げた。活動がうまく成果に結びついたことがうまく回っている要因だと思う。 活動に力を入れている社員については、賞与などに反映させている。

Q6 見学した総務のオフィスのようなしくみは工場でも取り入れているか。
A6 それぞれの部署において独自に改善に取り組んでいる。コンテストの結果では、床にパレットを敷いて配線を見えないようにした。


リコー福井事業所の取り組み情報、お問い合わせは次のところまで
リコー福井事業所ホームページ
http://www.ricoh.co.jp/fukui-plant/
担当:総務グループ
рO776−72−2700
連絡会の今後の予定
   連絡会の今後の予定をご紹介します。
■第19回連絡会「日本IBMが考える環境経営」
 京都議定書の発効を控え、今後10年の環境問題の動向をどう読んで企業経営に取り組んでいくかがまさに問われていると思います。そこで、常に時代の動向を見据え、環境経営を推進している日本IBMから講師をお招きし、環境の世紀に企業はいかに取り組むべきかをお話しいただきます。
日時 平成15年2月7日(金)14:00〜16:00
場所 金沢市保健所3階健康ホール
問い合わせ
     事務局(金沢市環境保全課内) 234-5132
■第2回幹事会を開催します
 地球温暖化防止実行計画を策定した企業で構成する幹事会を今年7月に開催しました。この第2回目となる幹事会を平成15年1〜2月に開催する予定です。事前に運営委員会で日程、内容を調整のうえ、各幹事社にご連絡いたしますので宜しくお願いします。
■地球温暖化防止実行計画策定研修会
   平成15年1月に、平成15年5月中での計画策定を目指した研修会を開催いたします。
 今月中に計画を未策定の会員の皆様に案内を送付いたしますのでご検討ください。また、既に研修会に参加いただき、現在取り組み中の会員の方には個別相談で進めますのでご連絡ください。

  会員企業の皆様もこのコーナーに掲載したい情報がありましたらどしどし事務局までご連絡ください


金沢市持続可能な社会を形成するための連絡会
事務局(金沢市環境保全課内)
〒920-0024 金沢市西念3丁目4番25号

076-234-5132 FAX076-220-2518
http://www.city.kanazawa.ishikawa.jp/kanho