金沢市持続可能な社会を形成するための連絡会ニュース
第3号  平成12年11月15日発行
  
 まちなかに鮮やかな彩りを見せていた広坂通りのアメリカ楓もすっかり枯れ落ち、冬の訪れが近づいてまいりました。今年の冬も例年にたがわず暖冬との長期発表が出ており、雪に悩まされる心配がない反面、これも地球温暖化の一面と考えると複雑な思いになります。
さて、今号では「金沢市持続可能な社会を形成するための連絡会」の取り組み状況とこれからの予定のほか、最新の話題をお伝えします。
 
ご み ゼ ロ 工 場 を ど う 実 現?
第2回連絡会でキリンビール北陸工場見学
第2回連絡会は、9月5日キリンビール竃k陸工場 様で開催しました。キリンビール 様は1998年に廃棄物ゼロを全工場で達成しており、いかにして取り組まれたかを担当者の方から伺いました。
■環境保全施策推進のための基本的な考え方
(3つのRと2つのA)
 Reduce(省エネ、省資源、環境負荷低減等)
 Reuse(使用可能なものを再使用)
 Recycle(回収・再資源化)
 Assessment(事前評価)
 Audit(内部・外部監査)
■徹底した分別の実施
副産物・廃棄物の再資源化にあたり、大きいものより、たばこ、牛乳パックなど小さいものの再資源化が難しいそうで、何が出ているかをリストアップし、何に再資源化できるかを検討した結果、現在、リストアップした1,000品目以上のものを32のグループに分別収集しています。工場内にはこうしたリサイクルステーションが数カ所あり、そこから屋外にあるリサイクルセンターに運ばれ中間処理または再生業者に渡すしくみとなっています。

リサイクルステーション
■主な副産物・廃棄物とその再生用途
ビール粕→飼料・土壌改良材
余剰酵母(乾燥酵母)→飼料・健康食品
 ケイソウ土→土壌改良材・セメント原料
 王冠栓→製鉄原料
 ラベル粕→段ボール紙原料
 余剰汚泥→土壌改良材、有機混合肥料原料
 飲料缶→アルミ地金、製鉄原料
 廃プラスチック→固形燃料・高炉還元材
 
■リサイクル業者選定の条件
 こうした廃棄物ゼロを進めていくうえで最も重要なことはリサイクル業者をどうやって捜すかということですが、業者選定に次の3つの条件を掲げているそうです。
産業廃棄物の処理免許、運搬免許を持っているかどうか
処理方法として再資源化しているかどうか
商売として流通させているかどうか
ただし、リサイクルを進めるにはやはりある程度まとまった量が出る必要があるようです。
 
■もう1回何らかの形で使うことが基本
廃棄物ゼロについての定義がないため、もう1回何らかの形で使うことを基本的な考え方としており、@リユース、Aマテリアル・リサイクル、Bサーマル・リサイクルという形でゼロ・エミッションを実現しているそうです。
 
■廃棄物の削減は温暖化防止に有効
「金沢市役所温暖化防止実行計画2000」で市の事務・事業から排出された平成10年度の温室効果ガスを調べたところ約58%が市民・事業者からのごみの埋立・焼却から排出されるものでした。行政はもちろん、市民、事業者などすべての主体がごみ減量化することが地球温暖化防止に向けて大変有効、かつ、不可欠であり、そういう意味でも先進的な事業者の見学会は大変有意義であったように思います。
第3回は保健所を事例とした省エネルギーの進め方
 第3回連絡会は新たに10社の一般会員を加えて11月1日、金沢市保健所で開催されました。事前に金沢市保健所についてエネルギー診断を行い、その内容について(財)北陸電気保安協会石川技術センター所長の西上章さんにご説明いただきました。
■次の事業者が新たに一般会員として参加
叶ホ川コンピュータ・センター
鰍mTTファシリティーズ
小松商事
戸田建設竃k陸支店
中橋システム
北陸冷蔵
松村物産
みずほ工業
渇。山商会
ワシントンホテル葛熨ワシントンホテルプラザ
            (アイウエオ順)
■デマンド管理で大きな経費削減効果
 金沢市保健所の平成11年度の電気使用量と最大電力の推移を見ると、夏場に最大電力が発生する傾向にある。(図参照)電気料金の基本料金は、1ヶ月の最大需要電力(デマンド)で決定するため、契約電力を引き下げるためにはデマンドを下げることがポイント。
今年8月1ヶ月間の推移をみると、毎週月曜日に最大電力が発生する傾向があるため、月曜日の運転方法を検討する必要がある。また、24時間の電灯動力負荷の日負荷曲線でみると午前8時30分始業のため9時から9時半頃にデマンドが発生する傾向にある。もう少し早い時間から空調機などを運転してデマンドを下げた方が良い。保健所には中央監視装置(デマンドコントロール装置内蔵)があるので、直接業務に影響の出ない機械から順番に運転を一時待機させるような設定変更を行ってデマンドを管理することが望ましい。一般の企業でこうしたコントロール装置を設置すると100万円くらいの投資が必要である。現在のデマンド管理値である500KWを450KWに抑えることで年間73万円の経費削減効果が生まれる。
■現在使用電気エネルギーの6%の省エネ効果
 デマンド管理のほか、電圧管理、待機電力の削減など投資を要しない省エネで年間32,400KWhの効果が、また、投資額を3年以内に回収可能な省エネとして、変圧器運転台数の合理化、人感センサーの導入、誘導灯や駐車場の消灯システムの導入などから年間38,400KWhの効果が生まれる。こうした実現可能方策から現在使用電気エネルギーの6%の省エネ効果が期待できると試算する。
 
■全館一斉消灯システムは効果的な省エネ手法
 学校や公民館を含め金沢市のほとんどの施設に設置されている全館一斉消灯システム。これは、最後に帰る人が玄関でスイッチを押すことにより全館の保安電灯、保安動力設備以外の電源を断つことができるもので、消し忘れ、待機電力の遮断、電気火災の発生防止など省エネ性と防災上から最も効果的なシステムである。
■省エネを進めるには
 この3年間で北陸3県の中小企業70社の省エネルギー診断を行ったが、エネルギー管理が全くなされていない状況である。省エネを進めるにはどういう状況でエネルギーが使われているかをしっかり把握してスタートするべきである。
■当日の質疑より
Q デマンドを下げるために、早い時間から機械を運転させることはエネルギー自体でいう省エネとどうつながるのか。
  直接各事業所の原油換算量に跳ね返るものではなく、電気料金が下がるという形になる。
 電力会社側からみると、デマンドが下がれば発電所の能力も下げていいことになる。電力会社の最大発電を抑えて負荷平準化されることにより、さらなる電力料金の下げにもつながる。
 
 
連絡会の今後の予定
  
  「金沢市持続可能な社会を形成するための連絡会」では、12年度中に次のような内容での会議を予定しています。
●第4回連絡会
12月6日(水)14:00〜16:00
金沢市保健所健康ホール
内容
 「これからの環境政策(仮題)」
  環境庁調査企画室長 小木津 敏也氏
●第5回連絡会
1月下旬(未定)
金沢市保健所健康ホール
内容
 「東京都の公害防止条例改正と事業活動への影響(仮題)」
  東京都環境局職員
●第6回連絡会
2月下旬(未定)
金沢市保健所健康ホール
内容
 「地球温暖化防止実行計画策定企業への認定証
授与式と取り組み内容についての発表会」
 「金沢市持続可能な社会を形成するための連絡会」では新たな参加事業者を募集します。より多くの事業者が参加することにより、地域レベルでの持続可能な社会の形成に向けて、行政、事業者の具体的な役割や方策が明らかになってくると思います。ぜひ、事務局までご連絡ください。
 個別にご説明に伺います。
情報交差点は、環境に関する様々な情報コーナーです。掲載をご希望される方は事務局までご連絡ください。
※両講座とも、場所は石川県工業試験場5階トライアル・ラボ第2研修室、受講料1,000円。また、申込期限前でも定員に達し次第締め切られます。
問い合わせ (財)石川県産業創出支援機構
          267-8108 FAX267-8109
■ISO認証取得を支援します
@ISO認証にかかる費用を助成します
対象者 市内に事業所・生産施設を有する中小企業の方
対象事業 ISO9000、14000シリーズ
対象経費 認証取得にかかる費用(コンサルタント派遣費、品質監査員育成費、仮審査および本審査費)
助成金  対象経費の1/2 限度額100万円
問い合わせ 金沢市工業振興課 220-2205
A県保健環境センターにISO14001相談窓口開設
 書籍・ビデオ・パンフレット等の閲覧・貸し出し、関連する環境法規等の相談、センターの環境
マネジメントマニュアル及び規定類の公表などのほかISO14001に関する様々な相談に応じています。
問い合わせ 石川県保健環境センター
                    229-2011
B平成12年度環境マネジメントシステム研究会
 ISO14001の内容の把握と石川県工業試験場の環境管理マニュアルについて解説する基礎コース、ISO14001認証取得企業の見学会、環境関連のコンサルタントによる企業指導での指摘事項や取得後の問題点について学ぶ実務コースで構成され、計8回の講義が予定されています。
第1回 11月30日(木)13:30〜
※申込期限 11月24日(金)
問い合わせ 石川県工業試験場 267-8086


金沢市持続可能な社会を形成するための
連絡会事務局(金沢市環境保全課内) 
 
〒920-0026 金沢市西念町103街区1
  076-234-5132 FAX 076-220-2518 
 2000年11月15日発行
■金沢市持続可能な社会を形成するための連絡会主催 地球温暖化防止月間特別講演会
 第4回連絡会で予定している講演会をこの回に限り地球温暖化防止月間事業として、会員以外の事業者や市民の方も参加いただけるものとします。ただし、事前にお電話やFAXでのお申し込みが必要です。お早めにご連絡ください。
日時 12月6日(水)14:00〜16:00
場所 金沢市保健所3階健康ホール
内容 「これからの環境政策(仮題)」
講師  環境庁調査企画室長 小木津 敏也氏
定員  200名(先着順)
申し込み  金沢市持続可能な社会を形成のするための
       連絡会事務局(金沢市環境保全課内)
          234-5132 FAX220-2518
 
■(財)石川県産業創出支援機構からのお知らせ
@工場、事業所に省エネの専門家を派遣します
 この紙面で市保健所の省エネルギー診断についてご紹介いたしましたが、気がつかないままでいると、膨大なエネルギーとコストの無駄を生み出します。専門家のアドバイスを受けて、それぞれの事業者にあった省エネルギー対策に取り組んでみてはいかがでしょうか。
対象業種 製造業、鉱業、電気供給業、ガス供給業、熱供給業
※資本金、従業員数などによる制限あり
相談内容 設備導入に関する導入費用、工程管理及び期待効果等のほか省エネルギーに関する相談全般
費用   12,400円(必要経費の1/3負担)
A石川県産業大学講座技術セミナー
A「インバース・マニュファクチャリングの実現」
日時 12月7日(木)13:30〜15:30
定員 40人(申込期限 11月30日)
B「ペットボトルを循環させるために」
日時 12月14日(木)13:30〜16:30
定員 20人(申込期限 12月7日)