持続可能な社会を形成するための連絡会ニュース
第7号  平成13年8月20日発行

 

 今年7月の気象情報では全国的に暑い1ヶ月となり、東京をはじめとして、ほとんどの地域で観測史上最高の猛暑となりました。東京では平均気温は28.5℃ と平年を3.1℃も上回り、30℃を超えた真夏日は31日のうち27日もありました。埼玉県の熊谷では、35℃を超える日は何と16日もありました。金沢地方気象台によると、金沢の7月の平均気温は平年を2.2℃上回る27.3℃と 観測史上2番目の暑さを記録し、8月も引き続き連日猛暑が続いています。各地で人や動物の熱中症による死亡事故が相次いで報道されていますが、今や熱中症注意報が必要とされるような地球環境になってきたといえるのかもしれません。
Rエコノミーへの挑戦!
   ホテルニューオータニ循環型リサイクルシステム
 
 さる7月13日、第8回連絡会が開催されました。日本の中でも特に先進的なリサイクルモデルを築き上げたホテルニューオータニ、ファシリティマネージメント部長の和田孝一氏の迫力ある話に参加者一同驚きを持って聞き入っていました。この紙面で、改めてその要旨を振り返ってみます。
■8万u1棟分のエネルギー、水の削減を!
和田 孝一氏
ホテルニューオータニが環境保全活動に真剣に取り組み始めるきっかけとなったのは、平成3年にガーデンコートという8万uの建物を建てた頃、右肩上がりで経済発展が進み、このままいけば環境破壊が避けられないと考えたことからだった。この建物1棟分のエネルギー、水、電気を絶対増やさない、廃棄物は以前からのビルも含めてリサイクル率を50%以上にするという計画を持って取り組みが始まった。
■「施設は宝の山だ」、社長からの積極的後押し
  都内で民間企業としては一番大きいコージェネレーションを3基導入した。また、氷のタンクを45本、水の蓄熱槽3,000tを入れ、夜間の電力をフルに買うようにした。現在使用している冷房用電気の20%は蓄熱型でまかなっている。[右上に続く]
 コージェネの54℃の廃熱から蒸気を作って冷暖房や給湯の熱源として利用している。ホテルはこの蒸気をフルに使えればものすごく効率が良くなる。しかし、夜間にコージェネからの蒸気が余ってしまうため、何とかならないかと考え出したのが食品残さの堆肥化だった。95年から対策して試行錯誤の末99年5月にようやく出来上がった。それで出来上がった堆肥が近郊農家に循環している。こうした取り組みでビル1棟分のエネルギーが完全に削減できた。また、こうしたことと合わせて50カ所の厨房から排出される水一日1,000tを塩素消毒して、飲んでもおかしくないくらいきれいな水に変え、トイレや庭に使用している。大谷社長は、私に「施設は宝の山だ。この施設を環境問題に配慮しながらいかに経済的価値を高めていくか。3年以内で回収できるものについてはどんどんお金を使っていい」と言ってくれた。これが大変心強かった。ホテルというのは、人件費と食材費、光熱水道費が経費の大きな要素となっている。ニューオータニの投資効果で考えると、まず徹底的にエネルギーを減らすことに投資する方が有効だった。我々が取り組んでいるRエコノミーという考え方は環境問題は経済というダイナミズムをもってすれば必ずや解決できる、又、投資したものは早期に回収するということだ。これまで23億投投資して、もうほとんど回収が終わり今新たな投資を始めようと考えている状況だ。[左下に続く]

 

■ホテル業界では異例のリサイクル率70%達成
 分別委員会を作って約200のテナントを対象にした紙のリサイクルや物販店でハンガーや段ボール、包装材等をきちんと持ち帰るか分別してくださいという取り組みを行った。最後に厨房について取り組んだが食品残さが一番難しい。宴会場は人数が変わる、メニューが変わる、形式も変わる。セッティングに追われて食品残さまで手が回らないというのが実態だ。食品残さをしっかり分別させるために料理長とか管理職など幹部職員を集めた。テーブルの上にいろんなものを並べてクイズ形式で細かく分別指導を行った。それでもうまくいっていない職場があったので食品残さの前に集まってもらって確認してもらった。自分の食材を知っているのでどこから出たか明らかで、フォークなんかが入っていたら大変申し訳ない顔をして職場に戻ってしっかり部下に注意する。そうするとみんな一生懸命やるようになった。
■野菜に続いて、米、肉も循環
 今では大変評判の良いニューオータニの堆肥 だが、はじめは農家に受け入れてもらえなかった。そこで夏野菜20種類で実験を行ったところ、収量 が倍になった。これを直売で格安で売ったことによ り、ニューオータニの肥料は何か違うらしいということが農家に伝わり、信用を得ることが出来た。お米についても収穫量に大きな違いが出た。又、ニューオータニの堆肥を入れると土が柔らかくなる。白色腐朽菌が多く含まれていたからだ。今、この白色腐朽菌が土壌浄化に役立つかを大学の研究機関と共同研究していて、もしかしたら国家プロジェクトになるかもしれないと思っている。現在近郊農家とニューオータニの堆肥で作った野菜の一部を買い入れているが、今後米や肉も循環させていこうと考えている。
■環境問題に教科書はない
 
常に壁を超えるために何をやるか、積み重ねていくと見えてきます。人にまかせるのではなく完全に循環するまでは自分でやりきること、自分で汗を流し失敗しても明るく楽しくやっていけば必ず役に 立つ答えが出ると信じることが大切だと思います。[終]
 
このコーナーでは連絡会会員企業の先進的な環境保全の取り組みをご紹介しています。今回は片町にある金沢ワシントンホテルプラザの取り組みをご紹介します。
  金沢ワシントンホテルプラザは、全国に34事業所を展開しているワシントンホテルプラザチェーンの1社で、201の客室を有しています。平成7年から「地球のためにできることひとつずつ」をテーマに、 省資源・省エネルギー、ごみ減量・リサイクルに取り組み、この秋、ISO14001を取得予定です。

■省エネスイッチをいち早く導入
 ワシントンホテルグループでは、他のホテルに先駆け昭和56年3月に省エネスイッチを導入しています。一番早く導入した事業所では昭和40年代後半だそうです。誰もいない部屋の電気やテレビがついたままになっていることが多いことから、カードの付いたキーを差し込むことでメイン電源のスイッチが入るしくみになっています。また、この春、これまで60tの冷温水発生器1基であったものを30t2基に入れ替えました。春、秋など中間期は30t1基の稼働で十分まかなえるため、重油、電気の節減につながっているそうです。このほか、客室浴室の60Wの白熱灯を12Wの消費電力で60Wの明るさを持つ蛍光灯への切り替えを進めています。
■様々な廃棄物削減対策
歯ブラシ、かみそりが置いていない洗面所
 フロント、客室ですぐ気づくのは、『ワシントンプラザは資源の節約・ごみ減量をテーマに活動しています。

 

〜「歯 ブラシ」と「かみそり」のご持参をお願いしています。』というメッセージ文です。ホテルの利用はほとんど予約のため、その際協力をお願いしているそうです。これにより、プラザチェーン全体で歯ブラシが毎月約14万本、かみそりが毎月約3万本削減できたそうです。さすがに当初はサービスの低下だという声がかなりあったそうですが、現在はかなり浸透したようです。それでも歯ブラシについてはたまに苦情がでることがあり、ビジネスマン自身の意識改革がしっかり必要といえそうです。  また、客室や洗面所のコップには専用のキャップを付けることにより、ビニールを削減しています。浴室の固形石鹸やシャンプー、リンスをソープディスペンサーに置き換えたことにより、容器の廃棄量が 大きく削減されました。このほかにもレストランの砂糖をポット式にしたり、はし袋を削減したりと様々な取り組みを行っています。
■消滅型生ごみ処理機をこの夏導入
金沢ワシントンホテルプラザから1ヶ月あたりに排出される生ゴミは約2t。これを自社処理するためにこの夏、生ゴミ処理機が導入されました。この 機械に生ゴミを投入すると、バイオの力により水と炭酸ガスに分解され完全消滅します。実際、夜間に投入され数時間の状態のものが入っていましたが、ほとんど臭いはしませんでした。この機械を入れた経済効果は、月約8万4千円で約2年あまりで導入費用が回収される見込みです。
■ワシントンホテル=環境に優しいホテルを    今回、客室係から厨房まで、それぞれの担当場所に廃棄物分別基準表が掲示されているのが目につきました。この基準表には該当品目や出す際の注意事項、最終処分状況が詳細に記され、分別の徹底を図ることができると感じました。ご説明いただいた河合副支配人は、「この秋に環境ISOを取得することを機に、ワシントンホテルは環境に優しいホテルと思っていただけるよう一層取り組みたい」と話していました。
環境トピックス
■建設副産物情報交換システムの試験運用開始  国土交通省は、今年8月13日から関東地方整備局管内において「建設副産物情報交換システム」の試験運用を開始することを発表しました。このシステムは、建設工事の発注者や受注者(排出事業者)が再資源化やリサイクル材の活用を行う場合に必要となる再資源化施設に関する情報、再資源化施設経営者への資源供給やリサイクル材の需要動向に関する情報などをインターネット等を活用してリアルタイムに交換するシステムで、建設副産物の排出先や再生資材の購入先の検索が可能となったり、工事現場から再資源化施設までの最短経路、距離や運搬時間の検索が可能となるなどのメリットがあります。年内にも全国ベースでの本格活用を開始する予定です。(国交省 8月13日発表)
■中央環境審議会、廃棄物の区分見直し検討
 中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会では、従来の「事業系一般廃棄物」を産業廃棄物とすることや廃棄物区分そのものの撤廃と処理業・処理施設に対する許可制度のあり方などの検討を進める。また、「拡大生産者責任」について廃棄物処理法の中で「排出事業者責任」と同様に明確化することも合わせて議論する。(8/1 環境新聞)
■大林組、「省燃費運転法」導入で大きな効果
 建設現場で発生するCO2の7割強は建設機械とトラックによる排気ガスが原因とされる中、業界目標値12%を上回る「17%削減」を掲げた大林組はクレーンの省燃費運転に取り組み、大きな効果をあげている。省燃費運転とは、エンジン回転数を落とす、急操作・急加速の禁止、低音運転の励行など。建設現場は、効率重視でオペレーターは作業時間の遅れを気にしがちになるが、「建設機械は待機時間が長く結果的に効率性に差はない」として、回転数を半分以下に落とすようにしているという。コベルコ重機の協力で実施した「キャタピラー付きクレーン(引き揚げ重量55t)8台による30分間の運転実験では、平均17%の燃費削減に成功した。年間では燃料(8台分12万g)で2万400g(約160万円)、CO2排出量(8台分318t)で53tの削減が見込めるという数値を得た。(6/23 毎日新聞)

 

●●省エネ一口メモ●●
ご存じですか!パソコンの省エネモード        最近はほとんどのパソコンに待機の状態が一定の時間を経過すると、消費電力を抑制する省エネルギーモードに自動的に切り替わる機能がついています。待機状態になってからの時間を短めに設定すれば、より省エネが効果的になります。また、スクリーンセーバーは、 主としてブラウン管焼き付け防止のためのもので、 通常の動作時と同じくらいの電力を消費しています。
 市役所全体のパソコン(3,051台)に省エネ設定を行うと(8時間/日使用)、年間で約44,000kwh、100万円程度節約できます。

省エネ設定の仕方
 パソコンのメーカーによってそれぞれ独自の省エネ設計をしているため、設定方法が異なります。設定の際、省エネに入る時間を短くすれば、最後の使用からその時間が経過するとモニター電源が消えたり、ハードディスクが止まりますが、キーやマウスを動かせばすぐに立ち上がります。市役所に導入されているパソコンの機種を例に設定方法をご紹介します。

@対応機種 富士通 FMV-650,FMV BIBLO LIFEBOOK,NEC VarsaPro R等
「スタート」→「設定」→「コントロールパネル」→ 「電源の管理(オプション)」に入ります。ここに、 「モニター電源を切る」、「ハードディスク電源を切 る」をチェックし、時間を短めに設定しOKを押しま す。

A対応機種 NEC VarsaProNX 等
「スタート」→「プログラム」→「power profiler」→ 「標準」で「省エネ優先」を選びます。(すると、自動 的にモニター、ハードディスク電源が1分で切れるように設定されます。)
環境イベント情報
■金沢リサイクルフェア2001、
             出展企業を募集中!
 今や秋の一大イベントとなっている金沢リサイクルフェアが今年も10月20日(土)・21日(日)に金沢市民芸術村と大和町広場で開催されます。ただいま、このフェアへの出展企業を募集しています。この機会に環境保全への取り組みを広く市民にアピールしてはいかがでしょうか。
問い合わせ 事務局(金沢市リサイクル推進課内)
                   220−2525

■いしかわ環境フェア2001
     〜環境にやさしい石川をつくろう〜
◇日時  8月25日(土)・26日(日)
       10:00〜17:00(26日は16:45)
◇場所  石川県産業展示館3号館
◇内容  ナチュラリスト「C.W.ニコルと語ろう」
       (26日13:30〜15:00) 
       体験・工作コーナー、企業団体出展コーナ
       ーほか盛り沢山の内容です。
      
※移動食器洗浄車(ピカピカ号)初披露
問い合わせ
  (社)いしかわ環境パートナーシップ県民会議
    232−3991 FAX232−3992


■環境セミナー

「新世紀を担う"環境ビジネス" 創出への挑戦」
◇日時 平成13年9月12日(水)13:30〜15:00
◇場所 金沢ニューグランドホテル3階 加賀宝生の間
◇講師 藤森環境経営研究所代表 藤森敬三氏
◇定員 100名(無料ですが事前申し込み必要)
問い合わせ
  
金沢商工会議所専門指導課 рQ63−1157



金沢市持続可能な社会を形成するための連絡会
     事務局(金沢市環境保全課内)
〒920-0024 金沢市西念町3丁目4番25号
     076-234-5132 FAX076-220-2518