金沢市持続可能な社会を形成するための連絡会ニュース                第8号  平成13年10月16日発行

 日本近海の太平洋で1999年から異常な高温化現象が発生していることを  植田宏昭・気象研究所研究官と川村隆一・富山大助教授の研究グループが 発見したとこのたび報道されました。衛星データから日本東方沖の海面水温 を解析した結果、1999年から急に夏場を中心に平年より2−2.5℃も高くな っていることが判明しました。ラニーニャ現象等その原因がいくつか挙げられ ていますが、全地球的にみても海が通常より熱くなっているのはここだけの特異 な現象だそうです。海はもともと陸より熱容量が大きく温まりにくいだけに驚くべき 水温の上昇といえ、生態系や漁業資源への影響が大きく懸念されます。
環境ISO取得企業の先駆け
         鰍oFU笠島工場を訪ねて
 さる9月11日に第9回連絡会が開催され、宇ノ気町にある鰍oFU笠島工場を訪ねました。ISO14001が制定された1996年に国内企業の中でもほぼトップの段階で認証取得されているため、その取り組みは全てにわたって先進的なことばかりでした。

■環境保全の取り組み〜福本工場長の説明から


鰍oFUの環境目標
@グリーン製品の開発
  2002年度末までに全ての製品をグリーン製品に
A省エネルギーの推進
  2003年度末1990年度比原単位あたり40%削減
B廃棄物の削減
  2003年度末ゼロエミッションの達成


 鰍oFUは、昨年10月に労働安全に関するマネジメント・システムOHS-MSを取得した。これにより ISO9001、14001と合わせた3つのシステムに基づいた事業活動を行っている。
 社員の意識改革として、2つの5Sに取り組んでいる。一つは労働安全面で一般的に言われているものだが、もう一つの5Sは、シンプル、スモール、スリム、ショート、スムーズである。いわば無駄を取り除くためのルールである。
   
取り組みの一つとして、雨水回収システムがある。もともと工場が高台にあるため、ポンプで汲み上げており、機械が止まったら大変なことになると危惧していた。各棟の屋上に降り注いだ雨水を地下タンクに溜め、屋上散水による屋上直下の冷房軽減を図ったり、工場内雑用水や自家発電所の冷却水、融雪用散水などに利用している。また、いったん使った水もさらに回収して利用している。工場内全体の4割(約24,800t)を雨水でまかなっている。
水の使用については、食堂の米を無洗米にしたことで月間100tの水道水が不要になっている。無洗米自身は10%のコストアップだが、トータルでは 年間300万円のコスト削減につながっている。
 このほか、廃棄物の分別を徹底しており、昨年1年間の平均リサイクル率は90.6%を達成している。
■笠島工場を見学して
  
     笠島工場内にある環境展示場
製造ライン〜IT化による業務の効率化

 製造にあたってIT化を業務の効率化のために積極的に取り入れています。周辺装置のラインでは、 あらかじめ作業員の能力を入力しておき、そのうえで一日の予定数を決定しています。当日予定数、現在時点での予定数、現在の終了数などがリアルタイムでモニターに映し出され、遅れていると黄色で表示、さらに遅れが大きいとモニター全面が赤色に変わり、そのラインでの早急な対策を求めるシステムになっています。
 また、最新手順書のネットワークを図っているため、経験年数が短い人でも作業手順がモニター画面で確認できるようになっていました。
リサイクル関連施設
@発泡スチロールのインゴット化
従来廃棄物としていた発泡スチロールチロールを工場内にある凝固センターで約180℃の熱で溶かし1本10sの棒状にしています。これらはおもちゃやベンチの材料などにリサイクルされています。
A生ゴミの堆肥化
 工場内では本社、笠島工場の 食堂から排出された食品残さの 堆肥化に取り組んでいます。1日 100sの生ゴミを50〜60℃で攪拌。微生物の力も借りて一次発酵します。2次発酵は別の場所で行い、そこで肥料とし、関連会社の畑で使用しています。とれた野菜は再び食堂で食材として使われています。
Bリサイクルセンター
 製造過程で出る廃棄物を中心に細かく分別・収集しています。ここには各ラインから社員が直接持ってきますが、社員がどこに出せば良いか分かるようにインターネット上でリサイクルの詳細な内容が確認できるようになっています。こうしたところにもIT企業ならではの工夫を垣間みることができます。
     
      リサイクルセンター内の分別ボックス
■環境ビジネスの観点が重要
 最後に、鰍oFUのコンサルティング子会社で あるPFUエコラボラトリ鰍フ遠藤常務が今後の目指す方向性として環境ビジネスの観点で一層取り組んでいくことを強調していました。
 「環境ビジネス」とは、具体的には、@事業発展(営業活動)に通じることA品質向上にも通じることB省エネ、省資源に取り組むことで第3の利益が得られること、そして「環境ビジネス」を語らずしてマネジメントシステムはありえないと話していました。

第10回連絡会のお知らせ
「(仮)環境格付けと企業経営のあり方」
  潟jッセイ基礎研究所
           上席主任研究員 川村雅彦氏
 日時:11月5日(月)14:00〜16:00
 場所:金沢市保健所3階健康ホール
 「環境格付け」は、上場企業だけのものと考えていませんか。確かに「格付け」は株式市場で市場からの退場を促す際に特に話題となっています。しかし、「環境格付け」は、企業が環境保全に対して具体的な取り組みや対応策のイメージを持つ、きっかけや材料になるものととらえるならば、その考え方を知ることは全ての企業の今後の経営にとって有効なものであるといえます。
環境トピックス
 温暖化防止担保法制定へ
  環境省、骨子固める(環境新聞9/12)
 環境省は次期通常国会に温暖化防止の新法を 提出することを決め、その大枠を固めた。京都議 定書の発効を目指し98年に世界に先駆けて策定 された「温暖化防止法」は、COP3時に定められた 日本の温暖化ガス削減目標である90年比マイナ ス6%を担保できない内容だった。そのため、環境省は当初から「二弾ロケットで進めていく」と、温暖化防止法の大改正を行うか、新法を策定する必要性を指摘していた。7月にCOP6再開会合でボン合意ができたことを受け、環境省もある程度急ぐ必要があると判断、勉強会を再三重ねながら検討し、このほど新法でいく方針を固めた。法律で特に重点を置くのは「地域の取り組み」で、自治体やさらにそれよりも小さな単位のコミュニティでそれぞれの実情にあった施策を展開する。例えば、自治体がエネルギー、交通、廃棄物などの削減効果の高い施策を組み合わせる「地域構造改革事業」や、自治体の実情に詳しい各都道府県の温暖化防止センターと連携し、ビル、オフィス、住宅などの温暖化診断を実施し、経費の一部を国が払う制度などを法律として位置づける「温暖化診断事業」などを盛りこむ。環境省は目標達成の切り札に環境税を想定しているが、新法はとりあえず環境税を位置づけなくても削減できるような枠組みを構築する方針。

経済産業省の平成14年度予算概算要求
             
省エネ、新エネ対策を強化
 経済産業省の平成14年度概算要求は、地球環境問題への対応、エネルギーセキュリティ確保の必要性から、来年度は新エネルギー対策、省エネルギー対策を一層強化。2010年度以降の技術開発も視野に入れ、省エネ対策費には前年度比49.7%増の1,635億円、新エネ対策費には38.6%増の1,532億円を計上した。また、エネルギー特別会計では、7月に取りまとめた総合エネルギー調査会の答申を踏まえ、二酸化炭素排出削減対策などにも重点的に取り組みグリーン化を図る。
省エネルギー対策では、産業部門や民生・運輸部門について省エネ法の執行体制を強化する。トップランナー基準対象機器を11品目から19品目に拡大するほか、最新技術を生かした促進措置を講ずる。IT技術を活用し、家庭用、業務用ビルのエネルギー需要を削減するため、エネルギーマネジメントシステムの導入を支援。また、一世帯あたり年間360L(石油換算)を消費するにもかかわらず、これまで手つかずだった給湯分野について、省エネ推進を狙いとしてCO2冷媒ヒートポンプ給湯器など高効率給湯器の導入促進費用を盛りこんだ。また、自治体や事業者の取り組み支援も重点化している。
 新エネ対策では、2010年までに現在の3倍以上の普及を目指し、自治体や事業者の新エネ導入支援制度を拡充する。
  
 環境保全に積極的に取り組んでいることを
        市民にアピールしませんか!
応募対象  金沢市内で事業を営んでいる事業所
応募テーマ 応募対象は、次のテーマにおける成果物(または、レポート)とします。
 @環境負荷低減のための調査・研究・開発(製品)事例において
 A独自の創意工夫による環境保全参加への事例について
表彰  大賞1点、準大賞2点、奨励賞3点
    平成14年3月に表彰式を行います。
応募期限  平成13年11月22日(木)必着
応募方法  成果物(また はレポート)に所定の 応募申込書と環境活 動評価自己診断チェ ック表を添えてご応募 ください。
  問い合わせ
    金沢商工会議所専門指導課
    
 263−1157 
環境イベント情報
■金沢リサイクルフェア2001
  市民芸術村、大和町広場にて
             10/20(土)、21(日)開催!

日時 10月20日(土)11:00〜21:00
    10月21日(日)10:00〜16:00
内容 企業展示コーナー、不用品市、
    リユースマーケット、家電・おもちゃ病院、
    廃油パッカー車、廃油石鹸作り、
    各種体験コーナー、金沢版なんでも鑑定団
  特別講演会「私のリサイクル」
                タレント 山田邦子
    10月21日(日)13:30〜15:30
問い合わせ
    金沢リサイクルフェア2001実行委員会事務局
    (金沢市リサイクル推進課内) 220-2525


■省エネシンポジウム2001
  「家庭における省エネルギーの実践」

日時  10月25日(木)14:00〜16:00
場所  北國新聞会館ホール
内容  基調講演とパネルディスカッション
定員  200名(参加費無料)
問い合わせ
   (財)省エネルギーセンター北陸支所
    076-442−2256 FAX076-442−2257


■石川県産業大学講座
   「省エネルギー推進セミナー」

テーマ1 経費節減に役立つ電気の省エネルギーの手法
テーマ2 コージェネレーションシステムを活用した省エネ対策
日時   11月12日(月)13:30〜16:00
場所   石川県地場産業振興センター新館4階
講師   (有)エヌイーアール代表取締役
          中塚 勉氏
定員   80名(先着順、参加費無料)
申し込み  事前申し込みが必要
問い合わせ  (財)石川県産業創出支援機構                 267−1124 FAX268−4911
■鹿島建設滑ツ境技術説明会
日時
 11月14日(水)13:30〜16:30
場所  金沢勤労者プラザ(北安江3-2-20)
   ※駐車場は2時間まで無料、
    以降     150円/時間
内容  本社環境本部担当者が来沢し、取り組みを 紹介します。
 @鹿島の環境分野全般への取り組み
 A有機性廃棄物の資源化(メタクレス)
 B鹿島が提案する廃棄物処分場
 C水汚染浄化対策の最新技術動向
 D環境共生・ビオトープ
申し込み 11月2日(金)までにお願いします。
問い合わせ  鹿島建設葛熨営業所
         担当 釜谷
     241−7318 FAX247−7851

■省エネルギー普及指導員養成研修会
対象
 地方公共団体、民間団体等において省エネ ルギー、
    環境、消費生活関連業務に従事し ている方で、
    氏名・連絡先を公開し、当該地 域における省エネ
    ルギー普及活動が原則と して2年間できる方
日程  11月6日(火)〜8日(木)
場所  富山県教育記念館
     (富山市千歳町1-5-1 076-433-2770)
募集定員 20名
参加費 無料(旅費を規定に基づき支給します)
申し込み方法 10月26日(金)までにメールでお願いします。
問い合わせ   (財)省エネルギーセンター
         076-442-2256 FAX076-442-2257
         E-mail:hkk@eccj.or.jp

   

金沢市持続可能な社会を形成するための連絡会
            事務局(金沢市環境保全課内)
〒920-0024 金沢市西念町3丁目4番25号
         076-234-5132 FAX076-220-2518