金沢市持続可能な社会を形成するための連絡会ニュース

 第9号  平成14年1月7日発行

 新年明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願い申し上げます。
  さて、昨年は環境を考えるうえで重要な一年だったように思います。
 まずは、負の部分としてアメリカ同時多発テロ事件です。テロ、戦争は、多くの破壊行為によって尊い人命とともに、永く受け継がれてきた文化、自然などにも大きな犠牲をもたらし、環境にとって多大なダメージを与えたことは間違いありません。
 そして、正の部分としては、米国の離脱後、揺れに揺れていた京都議定書が、昨年11月マラケッシュで開催された気候変動枠組み条約第7回締約国会議(COP7)で運用ルールが最終合意し、今年の発効に向け動き出したことです。
 産業界の削減対策については、当面企業の自主的な取り組みに任せることが先頃の中央環境審議会や産業構造審議会で決まりましたが、小泉首相は、政府税調に対し炭素税の導入検討を指示し、また、経済産業省は大規模な百貨店やビルに省エネルギー計画の策定や燃料使用量の定期報告を義務付けるため、省エネルギー法を改正するようです。
 「政府が規制や税を手にすれば2度と緩むことはない。今が企業の踏ん張りどころ」(経団連の桝本晃章・地球環境部会長)との声もあり、自主目標とタカをくくってばかりはいられないようです。

地球温暖化防止実行計画策定企業24社に

 さる12月5日、第2回目となる地球温暖化防止実行計画認定証授与式が、金沢市保健所3階健康ホールで行われました。今回計画を策定したのは10社で、6月の14社と合わせ24社となりました。
 今回計画を策定したのは次の10社です。
  安原建設株式会社 ナカハシ・グループ
   
(中橋システム梶A中橋タイル梶Aナカハシ商事梶j
  金沢ワシントンホテルプラザ
  株式会社ヨシカワ
  株式会社金沢名鉄丸越百貨店
  北陸通信工業株式会社
  近鉄ホーム建設株式会社
  真柄建設株式会社
  ジェイフォン株式会社北陸支社
  安田火災海上保険株式会社北陸本部
                (計画書提出順)
      

    24社の削減目標は5.4%削減

 地球温暖化防止実行計画を策定した24社の基準年での温室効果ガス排出量を合計すると、
  
現況  15,355t・COになりました。
これを削減目標値でみると、
   目標  14,529t・CO(3〜5年間で)
となり、目標削減率として5.4%削減となりました。
  地球温暖化防止実行計画の策定は、1998年10月に制定された「地球温暖化対策の推進に関する法律」に基づくもので、事業者については次のとおり定められています。
(事業者の責務)
  第5条 事業者は、その事業活動に関し、温室効果ガスの排出の抑制等のための措置を講ずるように努めるとともに、国及び地方公共団体が実施する温室効果ガスの排出等のための施策に協力しなければならない。
(事業者の事業活動に関する計画等)
  第9条 事業者は、その事業活動に関し、基本方針の定めるところに留意しつつ、単独に又は共同して、温室効果ガスの排出等のための措置に関する計画を作成し、これを公表するよう努めなければならない。
2 前項の計画の作成及び公表を行った事業者は、基本方針の定めるところに留意しつつ、単独に又は共同して、同項の計画に係る措置の実施の状況を公表するように努めなければならない。

  次回の地球温暖化防止実行計画認定証
  授与式は6月(環境月間)を予定

 次回の地球温暖化防止実行計画策定企業に対 する認定証授与式を今年6月に予定しています。 現在、すでに6社が計画策定に向け取り組み始め ています。

 計画づくりの第一歩は温室効果ガス排出の現況を知ることです!
 事務局では、温室効果ガスの排出量をエクセル 表に入力するだけで算出できるパソコンソフトの提供を行っています。計画策定のためのマニュアルもお渡しできます。 今からでも次回の認定証授与式には十分間に合います。いつでも個別にご相談に伺いますので、ぜひ、お気軽にお問い合わせください。

 
事務局(金沢市環境保全課内)
          担当 向 234-5132
連絡会運営に関するアンケート

〜連絡会はもう2年間存続〜
「持続可能な社会を形成する連絡会」は平成12年7月に発足し、当初活動期間として予定していました2年間をまもなく終えようとしております。今後、 この会を存続するべきかどうか検討するため、昨年 11月「連絡会の運営に関するアンケート調査」を 実施した結果がまとまりましたので主な点を報告し ます。
■連絡会の内容については、63社(未回答4社除く65社中)97%が「概ね良い」以上との評価
このうち「期待以上」は8社

■良かった内容はニューオータニ、PFUの順
         その他についても万遍なく評価

■連絡会に参加して実践するようにできるようになったことは(主なもの)
・省エネ対策、廃棄物削減、リサイクル率向上推進が容易にできるようになった。
・エコドライブ、営業車のタイヤ空気圧点検実施 ・デマンド装置設置による電力削減
・廃棄物の分別種類を増やす
・COの数値化による削減
・実行計画の取り組み実践
・包装紙、ギフト箱の再生紙使用
・環境目的、目標に「グリーン購買の推進」と「環境配慮設計の実施」を新たに取り上げ、環境負荷低減に対し上流の見直しを図っている。

このほか、各社がそれぞれできることから何らかの取り組みを行っています。
■地球温暖化防止活動についての状況
 ・地球温暖化防止実行計画を策定している
                         14社
 ・環境ISOで取り組んでいる
                        16社
  (内7社は地球温暖化防止実行計画を策定)
 ・地球温暖化防止実行計画策定を目指している
                            16社
  (内10社はこのたび計画を策定しました)
 ・具体的な計画はないが、電気や燃料使用量をし っかり把握し省エネにも取り組んでいる
                           11社
 ・電気や燃料使用量については一部把握していな いないが、省エネには取り組んでいる
                            9社
 ・電気や燃料使用量の把握はあいまいだが省エネには取り組んでいる
                            6社
 ・現在は省エネには取り組んでいないが今後取り 組みたいと考えている
                           9社
 ■今後の運営に望むことは(主なもの)
・市のリサイクルセンターや他のリサイクル工場見学会を多く取り入れる。
・廃棄物再資源化に取り組 む際の業者、施設情報
・環境関連法規の最新情報
・本来業務および新規業務 における環境影響の評価方法
・環境先進企業と行政等の取り組み情報

 全体的に廃棄物に関する情報の充実を求める声が多いようです。

 ■「さらに2年間運営するとした場合、貴社は参加しますか」の問いについては、48社(70%)が参加の意向
 「参加しない」と答えた企業は1社で、他の20社は「未定」となっていました。「未定」と答えた企業の中には、地球温暖化防止実行計画策定に向け取り組んでいる企業も含まれています。

連絡会の今後の運営について
 以上のアンケート結果から、「持続可能な社会を形成するための連絡会」が会員企業の環境保全活動にとって有効な組織であるとともに、継続参加の意思のある企業が多いことが分かりました。このため、更に平成14年度、15年度の2年間継続して運営することにしたいと思います。
 次年度には連絡会規約を改め、地球温暖化防止活動に加え、要望の多かった廃棄物削減、グリーン購入推進なども活動テーマとしていきます。
  また、
新たな会員の募集も行います。
 会員の皆様には、継続参加の手続きを含め、詳しい内容を改めてご案内いたします。
   ●●連絡会を振り返って●●

第10回連絡会
講演「環境格付けと
今後の企業経営のあり方」
 潟jッセイ基礎研究所上席主任研究員
                 
川村 雅彦氏


■なぜ環境格付けが求められるのか
  第1の要因は特定事業者による特定の環境汚染だったものが、地球温暖化に代表される地球環境問題が顕在化するなど原因と対策が従来と変わってきたことである。
 また、環境問題の変化により、従来エンドオブパイプ型の「直接規制的手法」であったものが、市場原理に基づく「経済的手法」へとシフトしてきている。「容器包装リサイクル法」や「家電リサイクル法」などがこうした例だ。企業にとって環境保全コストの持つ意味は「必要悪的なもの」から「先行投資的なもの」に変化してきた。
 「市場のグリーン化」が進むと、環境経営の巧拙によって企業の商品企画力・価格競争力や資金調達力さらに業績に大きな差が生じる可能性がある。
  企業にとっては「環境」という新たな競争条件と評価基準が出現したのであり、「環境淘汰」はすでに始まっている。環境先進企業が増え、2番手、3番手という動きが続いてくると、本当にやっていることが正しいのかという評価が必要になってくる。企業の周りにいる利害関係者も企業に環境経営を求めるようになってきた。こうしたことから企業の環境問題への取り組み姿勢や環境負荷低減に対する努力や成果、成長性や環境リスクについて第3者による評価が必要になってきた。
  「環境格付け」は企業の「環境経営力」を何らかの形でランクづけする必要から生まれたものである。
■環境格付けの今後の方向性
 「評価領域」は紙、ごみ、電気の削減だけでなく、本業での環境配慮を問うようになってくる。「評価対象」は、取り組み状況の評価から取り組み成果の評価となってくる。「評価尺度」も環境格付けから「社会的責任格付け」「持続可能性格付け」へと、これまで以上の取り組みが付加されるだろう。
       (平成13年11月5日  要旨抜粋) 
第11回連絡会
      講演「循環型社会の展望」
      環境省廃棄物・リサイクル対策部
        企画課長    江口 隆裕氏


  日本では年間20億tの物質投入量があり、そのうち3億tが廃棄物となっている。これは1970年に比べて1.3倍に上り、かなりの高水準である。1998年の資源採取量は17.5億tであるがこれに伴って生じる「隠れ たフロー」がかなり多い。具体的には、建設工事に よる掘削残土、鉱物採取に伴う鉱滓、海外での間 接伐採などがある。例えば、ダイヤモンドを1カラ ット手にするには海外で非常に多くの土砂を掘削 して捨てている。循環型社会形成のためには、こう した隠れたフローを可能な限り低減しなければなら ない。
 産業廃棄物は排出事業者が処理責任を負っており、この単価を抑えていくことが企業にとって重要な問題となっている。一般廃棄物については、全国平均一人あたり18,000円の処理費用がかかっている。自治体が処理しているといってもその費用は住民税でまかなっており、大変な負担である。廃棄物は燃やしても最後は灰となる。それは埋め立てることになる。産廃処分場は首都圏では1年を切っている状況で、そのため処理費用が一層高くなっている。
  ごみ問題の一番のポイントはマーケットになじみにくいことである。お金をかけても不法投棄されることが問題だ。マニフェスト制度が強化され、不法投棄された場合には排出事業者も責任が問われることになった。しっかりした業者を選ぶことが必要だ。
 循環型社会形成推進基本法で「拡大生産者責任」が定義されたことで、電気製品を引き取ったり、リサイクルしやすい製品づくりが求められるようになった。現在この法律を具体的に推進するための基本計画づくりに取り組んでいる。また、平成14年中に「廃棄物」の定義・区分が見直される。廃棄物行政の基本に関わるものとなってくる。
    (平成13年12月5日 要旨抜粋)
環境キーワード
「アイドリング・ストップ」

 環境に配慮した活動として、市民、 事業者問わず、よくいわれる取り組 みの一つが「車のアイドリング・ストップ」です。環境省の資料によれば、普通乗用車(ガソリン車)で10分間アイドリングした際の燃料使用量は約144t、二酸化炭素排出量は約90gといわれています。荷物の積み下ろし時や駐停車時にエンジンを止めるのが一般的で、渋滞や信号待ちの時まで徹底してエンジンを切る人はほとんどいません。こうした中、12月25日付け日経新聞のミニコラム、「グリーン通信」に次のような記事が載っていました。「横浜市鶴見区の井澤電子工業の井澤靖治社長はエンジンキーを回さず、簡単なボタン一つで車を停止・再始動する装置『アイ・スタート』を開発した。大きさは横12a、縦8aほどでハンドル台上部にのせケーブルでエンジンキー回路に直結させる仕組みだ。オートマチック、マニュアルに関わらず既存のほとんどの車に装着可能。本体が5万円、取り付けには1万円程度かかる。……」直接、井澤電子工業に確認したところ、この装置の特徴は、@エンジンの始動時間は0.1〜0.2秒(通常は2,3秒)Aエンジン系統の電気回路のみの遮断のため、方向指示器、エアコン、パワーウインド等は通常通り作動B取り付け時間は1時間 などです。一般的に30秒以上のアイドリングではエンジンを停止することにより多くの効果があることが報告されています。現在市内にはアイドリング・ストップ装置が付いたバスが37台走っています。信号待ちでエンジンが切れた時の静寂は精神的にも心地良いものです。残念ながら「アイ・スタート」は販売網が未整備のため、現在神奈川県周辺でしか導入できませんが、販売網が整い次第連絡いただくことになっていますので、その際にはご案内いたします。

  
 
金沢市持続可能な社会を形成するための連絡会
         事務局(金沢市環境保全課内)
 〒920-0024 金沢市西念3丁目4番25号
   076-234-5132  FAX076-220-2518