金沢市持続可能な社会を形成するための連絡会ニュース
第11号  平成14年6月14日発行

 今月4日、地球温暖化防止のための京都議定書を議長国としてまとめた我が国は 正式に京都議定書を批准し、批准書が国連に提出されました。5月末に提出した 欧州連合(EU)諸国と足並みをそろえ、議定書発効に向けて大きく前進しました。 議定書は、55カ国以上が批准し、批准国の1990年時点の合計が先進国全体の 55%を超えると、その90日後に発効することになっています。  日本の温室効果ガス排出量は、1990年の12億2400万tから1999年には、  13億7000万tにまで増え、第1約束期間である2008年〜2012年の平均値で 目標を達成するには、実質13%以上の削減が必要です。  政府がこの3月にまとめた地球温暖化対策推進大綱では、2004年までを「第1ステップ」として、企業に対しては、削減の具体策を自主努力にゆだねましたが、中央環境審議会では、2005年以降早期の環境税導入を提言し、また、東京都では、4月から約1100の事業所に対して二酸化炭素排出量と今後の削減・抑制計画の提出を求めています。もはや地球温暖化対策が、かけ声で済む時期は過ぎたのではないでしょうか。

  
地球温暖化防止実行計画策定企業が31社に
 さる6月3日、第14回連絡会において、通算3回 目となる地球温暖化防止実行計画認定証授与式 が金沢市保健所3階健康ホールで行われました。今回計画を策定したのは、次の7社で、これまでに計画を策定した24社と合わせ31社となりました。

■策定企業名(計画書提出順)
 株式会社北日本ジオグラフィ
 福島印刷株式会社
 佃食品株式会社
 北菱電興株式会社
 北陸鉄道株式会社
 松村物産株式会社
 西日本旅客鉄道株式会社金沢支社


  これまで計画を策定した31社の概要は、次のホームページで見ることができます。
http://city.kanazawa.ishikawa.jp/kanho/

■地球温暖化防止実行計画に取り組むことは 企業にとって大変有効な活動です!

 中橋システム鰍ヘ、地球温暖化防止実行計画を策定した31社の中の一社です。昨年、7月に開催した計画策定のための研修会に出席し、取り組みを始めました。まずグループ企業でもある中橋タイル梶Aナカハシ商事鰍R社分の前年度の電気や燃料使用量、社有車の走行距離などを拾い上げ、温室効果ガスの排出量を算出しました。
温室効果ガスを削減するための取り組みについては、事務局が配布したマニュアルを参考に、会社として取り組み可能な項目を整理し、グループ経営会議に諮り決定しています。
 もともとコスト削減の面から平成3年に照明器具にプル型スイッチを取り付けたり、こまめな消灯を社員に呼びかける活動を行っていました。また、オフィスペーパーリサイクルかなざわの会員として古紙の再生利用にも早くから取り組んでいました。
 そうした企業でも計画を策定する際に電気や燃料使用量の数値をしっかり把握し、基礎データとして持つことができるようになったことで、取り組みの効果が一目で分かるようになり、既に大きな成果が見られています。年度途中からの取り組みにも拘わらず、
平成13年度の平成12年度比節電効果は
  電気使用量18,708KWh  削減率6.01%
  電気料金 443,069円削減 削減率6.47%
となりました。
 平成14年度は、事務所内に節電ポスターを貼りだしての社員の意識づけ、プル型スイッチ導入の拡大、そして、省エネ診断に基づいたデマンドコントロール装置設置の検討など、年間を通じた本格的な活動がスタートしています。このほか、グリーン購入への対応も始まりました。
 計画を推進するための環境推進委員会は、毎月1回グループ経営会議終了後に開かれ、全社的な取り組みの確認、チェックが行われています。
 中橋システム鰍ノとって、まさにこの計画が環境マネジメントシステムして運用されています。

地球温暖化防止実行計画
   
策定研修会を開催します
 連絡会では、各社の計画策定を支援していくた めに、全体会とは別に研修会を開催します。温室 効果ガス排出量を把握するためのソフトも無償で 提供いたします。
 ぜひ、この機会にご参加いただき、計画策定に 取り組みませんか。
 詳しくは事務局(金沢市環境保全課内)
         234-5132まで
連絡会の最近の活動から
第13回連絡会「古紙のリサイクル」
      
4月17日(水)加賀製紙鰍ノて
  当連絡会の会員企業である加賀製紙蒲lのご 協力で、事業系一般廃棄物として排出の多い「古 紙のリサイクル」について工場見学と研修会で知識 を深めました。工場では、6班に分かれ、担当者の案内のもと、山のように積まれた古新聞、古雑誌、段ボール が、溶液から古紙パルプ、そして、再生紙へと生まれ変わっていく過程を見学しました。
会議室で行われた研修会では、まず樺島商店の木船さんから、1997年と2000年を比較すると、パルプの消費量が減少している反面で、古紙の使用および板紙使用が増加していること、段ボール古紙の回収率が90%と非常に増えてきていること、上等の古紙がDIPというパルプに変わっていること、機密書類は今後上等な印刷用紙として活躍の場面が来るなど、古紙や再生紙の現況について伺いました。続いて、オフィスペーパーリサイクルかなざわの事務局である北陸電力鰍フ宮前さんから平成7年に発足したこの会の会員数が、当初の42社から100社に増えていること、回収実績も平成8年度の819tが、平成12年度には1,527tに増えていること、そこから出来上がったトイレットペーパーも48,000ロールから250,000ロールへと急増している実態を伺ったうえで、入会案内がありました。最後に、葛エ本清文堂印刷の橋本さんが、5、6年前全国の自治体の中で一早く金沢市、石川県が印刷物を再生紙にしようと印刷業界に働きかけたこと、そうした動きに合わせてメーカーの増産体制、種類が整ったこと、全国ベースで印刷業界のグリーン基準が進められてきていることなどを説明しました。再生紙を印刷に使うと4%程度値段が高くなるが、まず紙代のウエイトが少ない名刺など取り組めるところから取り組んだらどうかという提案もありました。
第14回連絡会「グリーン購入で変わる
              企業の環境活動」
     6月3日(月)金沢市保健所にて
    グリーン購入ネットワーク事務局長
                  佐藤 博之氏

  今やグリーン購入の市場は32兆円と積算されている。グリーン購入はあらゆる製品、サービスの中で取り組むことが可能である。
 IBMはパソコンをリサイクルして傘を作った。これが社員向けのシンボルとなっている。ソニーは売り手として消費者に対し商品の責任を持つことができるよう、製造・資材の買い手としてグリーン購買の徹底を図っている。取引先に対し、グリーンパートナー基準を設け、説明会を開催した上でレポートの提出を求めている。また、輸送の効率化を図るため、東京から大阪までソニー製品を運んだトラックに、帰りには東芝製品を積んで戻ってくるような共同配送を実施している。
 滋賀銀行は、顧客への頒布品にエコ商品を使っている。銀行が取り組むことは地域へのインパクトが大きい。
 今年、グリーン購入大賞に選ばれた滋賀県の油藤商事は、ガソリンスタンドを経営しているが、資源回収や廃油の回収を行っている。回収された廃油はリサイクルせっけんとなり、洗車に使用している。通常洗車で使う洗剤はかなり強い物質で、これが公共用水系に流されることは影響が大きい。
 企業がエコであるかどうかが問われる動きが出始めている。特に部品メーカーに広がっている。環境についてしっかり情報提供できることが企業の売りとなっている。
 ウイスキー樽は従来廃棄物だったが、最近ではテーブルや家具として再生されている。「樽物語」という製品名でかなり人気となっている。地域で使ったものは、その行く先が物語になりやすく、製品の魅力アップにつなげやすい。
グリーン購入では、基本原則の1番目に「必要性の考慮」を挙げている。まず必要性を考えて、できるだけ現在持っているものの修理、共同利用やレンタルなどで対応することが望ましい。できるだけ長く使用することがコストダウンにつながる。
 滋賀県、福井県で地域ネットワークができている。今年秋には石川県でも組織を立ち上げる。今後、全国で地域ネットワークを立ち上げたい。また、グリーン購入アドバイザーを全国で1万人くらい育てたい。
 グリーン購入は"¥の投票"である。つまり、物を購入する際、環境にやさしい物を選ぶか否かは、その購入に伴うお金の支払いで投票されているわけである。この投票は、誰でも今すぐ実行できる活動である。グリーン購入が進めば市場を変え、社会全体を変えることができる。

質疑応答)
Q1 グリーン購入を進めているがどうしてもコストが割高になってうまく進みにくい。

A1 確かにコスト面では高いものが多いが、プラス5%であれば許容範囲と考えている。また、購入に当たって取引先とちゃんと話をしていない場合が多い。我が社ではずっとこの製品を使うという姿勢を示すことで、卸売業者も在庫を持つことができ、価格を抑えることができるようになる。

Q2 グリーン購入を進める上でPL法などの法規制が再生品使用に障害となっていると思うが?

A2 代替軽油の販売が認められていないように、確かに障害が存在する。ぜひ、そうした情報をネットワークに教えてほしい。
                   (講演要旨抜粋)
金沢市グリーン購入方針
   対象品目153品目に

 金沢市では、昨年4月施行された「グリーン購入法」に基づき、このたび「金沢市グリーン購入方針」を策定しました。この方針により、金沢市が行う環境負荷の低減に資する原材料、部品、製品、役務の調達を総合的かつ計画的に推進します。
適用範囲  市の全機関
選択基準
@環境や人の健康に影響を与えるような物質の 使用や排出が削減されていること
A資源やエネルギーの消費が少ないこと
B再生可能な天然資源は持続可能に利用していること
  C長期間の使用ができること
D再使用が可能であること
Eリサイクルが可能であること
F再生材料や再使用部品を用いていること
G廃棄されるときに適正な処理・処分が容易なこと
グリーン購入対象品目
 国が定める紙や事務用品、車など150品目に、市独自に指定した3品を加えた計153品目。
※市独自品目…市内で生産された野菜、米とペットボトルをリサイクルしたカラス等防止ネット
 グリーン購入対象品目の詳細な判断基準は、別に定めています。

グリーン購入目標
 購入総量に占めるグリーン購入対象品目の目標割合は原則80%。特記事項として、自動車は今年度、塵芥車2台と軽貨物車5台を天然ガス車に更新。天然ガス仕様の「ふらっとバス」3台を材木ルートに導入します。公共工事では、「石川県リサイクル認定製品」を優先的に使用します。
実績の公表
 達成状況は、品目毎に購入実績を集計し、毎年度公表します。
環境イベント情報
  ■環境活動評価プログラム説明会
国際規格の環境マネジメントシステム(ISO14001)が企業の環境保全活動の手法として評価され、導入を進める企業が増えていますが、一方で認証取得や維持にかかる経費、人手などの面から導入に二の足を踏んでいる企業も多いようです。
 環境省が作成した「環境活動評価プログラム」は、経費や人手の面からも簡単に取り組むことができ、 環境改善を図っていくことができるものです。
日時 7月3日(水)14:00〜15:30
場所 金沢市保健所3階健康ホール
内容 「環境活動評価プログラムの概要について」
       講師 環境省環境カウンセラー
               島田 一則氏
問い合わせ
       金沢市環境保全課 234-5132

■環境対論・21世紀を語る
 〜職業を通して語る地球環境と私たち〜
◇第2回「生活者の視点からみえるもの」
      6月28日(金)18:30〜20:00
      ゲスト 石川県議会議員 広岡立美氏
◇第3回「環境を蘇らす酒蔵づくりと
      金沢青年会議所の環境への取り組み」
      7月26日(金)18:30〜20:00
      ゲスト 金沢青年会議所理事長
      中村酒造且ミ長 中村太郎氏
場所 いずれも県民エコステーション
            (尾山町10-5 県文教会館B1F)
問い合わせ  英国国立ウエールズ大学大学院
            環境プログラム事務局
            247-7980

 会員企業の皆様もこのコーナーに掲載したい情報がありましたらどしどし事務局までご連絡ください。


 金沢市持続可能な社会を形成するための連絡会
        事務局(金沢市環境保全課内)
 〒920-0024 金沢市西念3丁目4番25号
  076-234-5132 FAX076-220-2518
  E-Mail:kanho@city.kanazawa.ishikawa.jp